私は悪魔に あなたは天使に 生を受け 互いを調べる このひと時だけを 生きる
火照った蝋燭のような翼 静かに広げた
さぁ天の国へ 参りましょう 雲の色は闇 さらに深く 悲しい さぁこちらへ 参りましょう
苦しみ のたうち 君の胸 傷つけて 声遠く
辺りは宵闇 夢うつつ 呼吸を忘れ 嫋やかな身 空に投げ
あなたはやがて知るのでしょう 私は ここに いないことを
私は悪魔に あなたは天使に 生を受け 互いを調べる このひと時だけを 生きる
空に煌めく羽 追いかけ 誰も知らない 地上の泉 めがけ
溶けた星のように 落ちてゆく さぁ私の故郷へ 参りましょう 悪徳の栄え 都へ
私は知っていた あなたは ここに いないことを
落ちてゆく 湖の底は暗く 悲しい 今はただ 沈んでいたい 夢なら 覚めないで どうか このまま ずっと ずっと
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No.1080 - 2024/05/05(Sun) 22:11:34
| ☆ Re: 永遠の刻 / 齋藤純二  | | | 私が悪魔になり、あなたが天使になり、 ここという今が分岐点となりそれぞれの世界へ進む。 (私とあなたが同一人物という読み方もできなくもないのかな) 風景の描写とそれぞれに引かれている動きがフィットしていて 読者は場面を想定しながら拝読されることでしょう。 とても静かさを感じながら流れていく雰囲気で、上手に表現されています。 今を生きている時に「お互いを調べる」という思想や生き方を探るのでしょうか。 ここは作品に深みを与えています。
さぁ私の故郷へ 参りましょう
ここで、躓いてしまいますかね。 天国へ誘う人がいて、 こちらは悪徳の都へ誘う人のようですが、 この「私」は誰なんだろう? と。 悪徳の都に向かっている私が、私に誘われている、 みたいに読み取れてしまいますかね。
最終連の 落ちた底に沈んだまま、 読者の思いとしては夢なら覚めてくれ、となってしまいそうですが、 ここが夢なら覚めないで、というエンディングになっています。 この「私」が何かを背負った運命があるのかな、と 想像をさせてのエンディングはいいですね。
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No.1082 - 2024/05/06(Mon) 00:31:31 |
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