家でずっとは 見てあげられない 娘は母親を 病院へ連れていく そして処方してもらう
その薬は 睡眠導入剤といい 今より更に強い薬で 強さ的にいうと 真ん中あたり それと新しい薬が増えた 精神安定剤で 不安症状が出た時や 寝る前の薬と 一緒に服用しても良いそうだ
お泊りの施設に帰ってきて 仲良く手を繋いでいる だがもう 玄関でお別れだ
心の中で 言葉には出来ないが つっかえているものがある
不安なのは 家に帰れないからだ 不安なのは
あなたがいないからだ
いてあげたくても 色々な諸事情があり できない それが現実
理性では 到底生きていかれない 母親は辛いだろう
あなたが 精神安定剤なんですよ 目が合った時 心の奥底で わかっている眼差しに見えた
記憶を失っていく恐さ 記憶が全て 消されないように
あなたの名前を 何度も書いてと頼まれて 大事な杖に 貼ってあげた
家に 帰りたいのだろう 今日は 他に誰か来ますか?
帰ってきたばかりで そうやって尋ねてこられる
家に 連れて行ってくれる 家族の迎えを 心からいつも待っている
顔は忘れてしまっても 覚えている あなたの 名前を 呼んでいる
|
No.1039 - 2024/04/21(Sun) 02:16:00
| ☆ Re: 帰れない / 荻座利守 | | | とても哀しい感じの詩ですね。 特に、 「あなたが 精神安定剤なんですよ」 「あなたの名前を 何度も書いてと頼まれて 大事な杖に 貼ってあげた」 というところから、切ない想いがひしひしと伝わってきます。 読む者の心を揺さぶる優れた詩だと思います。
|
No.1040 - 2024/04/21(Sun) 08:41:09 |
| ☆ Re: 帰れない / 齋藤純二  | | | 記憶が失っていくことがわかっていて、 娘の名前を忘れないようにと母親に頼まれ 杖に名前を貼るシーンは切なさがとても伝わってきます。 そして、あなたが精神安定剤なのよ、と 娘が母親の様子から察している場面からは、 家に帰れなくてごめんね、そんな声が聞こえてきます。 なるべく家族がお話の相手になる時間が得られるといいですね。 とても気持ちが伝わるいい作品です。
終わりから二連目は語り部の言葉で、 最終連は母親の言葉になっていると思いますが、 ここはあなたが精神安定剤、の場面のように 母親の言葉としての表現で示し読者に伝えたほうが、 すんなりと拝読できるでしょう。
|
No.1041 - 2024/04/21(Sun) 15:53:18 |
| ☆ Re: 帰れない / M・K | | | 荻座利守 様
ご感想ありがとうございます。 哀しい詩になってしまいました。介助で常々見ていると記憶を失っていく怖さと家に帰りたいのに帰れない姿は不憫で仕方ありません。親子で一緒にいる姿を見た時、薬情の説明を聞いていて、薬に頼るしかない現状が辛く詩にしてみました。 人の事と思いながらも、涙が出てしまいます。お褒め下さりありがとうございます。
|
No.1055 - 2024/04/23(Tue) 14:10:33 |
| ☆ Re: 帰れない / M・K | | | 齋藤純二 様
ご感想ありがとうございます。 最終連のアドバイスもありがとうございます。
伝わっているかいないか気になったので、一応九連目を説明すると、 上二行は語り部の言葉で下三行は語り部から見た娘の眼差しでした。 読む側からすると、説明というか言葉が足りてなかったらすみません! 言葉は難しいですね。。。詩で伝えても親子の問題が解決するわけではないですが、こちら側が哀しいなら本人同士はもっと哀しいですよね。。介護も良い方向に進むと良いです。 お褒め下さりありがとうございます。
|
No.1057 - 2024/04/23(Tue) 14:41:40 |
|