わたしは世界に連れられて、踊りを踊っているのです。ため息に悲しみは潜み、私は遠くへ目を向けて、ふらりといつかの海を見る。きらりと光る魚たちは、ゆうゆう必死に泳いでいる。私は海から目を離し、空飛ぶカモメを見上げます。すぐに黒い雲に隠れて、カモメは消えてしまいました。その刹那、ぽつりと雨が目に飛び込み、私はまるで泣いているみたいでした。真白い紙の人形は、雨粒ひとつの重さにも、耐えずにしなりと倒れます。真白い紙の人形は、そよ風ひとつの勢いに、揺られてへなりと倒れます。私は世界に連れられて、踊りを踊っているのです。
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No.1502 - 2024/10/15(Tue) 21:46:28
| ☆ Re: 私は世界に連れられて、踊りを踊っているのです。 / 荻座利守 | | | 世界の動き、あるいは流れに翻弄されている、小さく無力な自分の姿を描いているように感じました。 光を放ちゆうゆうと見えながらも必死に泳いでいる魚や、すぐに黒い雲に隠れてしまうカモメは、華やかなものの裏に隠れた苦しみや、微かに見えた希望がすぐに失われてしまう様を表しているようです。 無力な自分を「真白い紙の人形」に喩えたところが、どこか呪術に用いる形代を想わせて、世界や未来への仄かな願いを感じさせます。 美しい作品だと思います。
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No.1505 - 2024/10/16(Wed) 07:07:46 |
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