人は必ず囲まれた場所を持つ と 語るものがある
それは小さな小さな珈琲店にある 窪みに置かれた 黒い 椅子であるかもしれない
椅子はあなたの広さでなければならない あなたと あなたの影を そっくり埋めこむ 樫の椅子 しかし 希望してはならない 椅子はあなたほどの力量しかありはしないのだ
魂を計量するその場所に あなたは物の怪のような群衆から 身を隠さねばならない
ああ この囲繞の場所よ 日々は埋れ木のようにあなたに埋没しようとも あの彼方にある 静寂を 決して装ってはならない
それが残された あなた と あなたの影がスパークする場所なのだ
あなたは疾風となって 幾度となくこの囲繞の場所を 駆け抜けてゆこうとしたことか
あなたにとって この囲繞の場所は 安息ではなく むしろ 擾乱であったのだから
それは呪われた場所だ と 語るものがあるとしても 走り去ることはできないのだ
知らなければならないのだ あなたの広さを 隠された官能を
そして人はかならず囲まれた場所を持つ と 語るものの存在を
知ることが たとえ 永遠の苦痛であるとしても
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No.91 - 2023/09/16(Sat) 13:15:44
| ☆ Re: 囲繞の場所 / 齋藤純二  | | | こちらの作品を何度か拝読していますと 囲繞の場所は「自分という器(魂の器)」なんだろうなあ、と思いました。 人それぞれの魂の大きさ(自分のサイズに合った椅子)があり、 それ以上大きくなく、小さくもなく一生この器からは逃れられない。 苦痛があろうともこの器で生きるしかない、 そんなメッセージが伝わってくる作品は読み応えありました! (個人的は解釈、感想です)
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No.98 - 2023/09/17(Sun) 20:42:43 |
| ☆ Re: 囲繞の場所 / 上田一眞(じょうでんかずま) | | | 齋藤様
このように拙作を丁寧にかつ正確に読んで頂いたことはありません。感激しております。
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No.100 - 2023/09/17(Sun) 22:49:23 |
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