ひびのはいった仮面をかぶり続けてきた 能舞台に扇子を持って立った 観客のいない舞台であった 私は床から足をあげた 足は床を強くけった 水と油があざやかに分離した花火が 夜空に爆発した ひびのはいった仮面が床に落ちた 私の素顔が露出した 開かれた扇子を持った私の手はまっすぐ前方をさし 床を踏みしめた足はそのまま前へ前へ運ばれていった 扇子は裏返され自分をあおるように上下に動いた うしろから鼓の音が聞こえてきた 私の中で私の詩が声を上げて読み上げられていった
|
No.2286 - 2025/06/15(Sun) 00:49:41
| ☆ Re: 能舞台 / 齋藤純二  | | | ひびのはいった仮面をかぶり続けた
出だしが素晴らしいですね。 素の自分を出したいけれどずっと隠していたという心情を 「ひび」として表していることろがカッコいい。 そして、一歩を強く踏み出すことで能面が割れ自分らしさが露になり、 その勢いでどんどん進んで行ける。 能の舞台を使い詩の世界を歩き出した様子が描かれ、 構成もよく、「〜た」と一行ごとに言葉を切っていたのも 効果的に読者に語り部の声が聞こえてくると思います。 どんどん詩を楽しまれてください!
|
No.2290 - 2025/06/15(Sun) 11:04:20 |
|