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死亡者名簿 / 大人未満

 災害で亡くなられた方の名簿です。
 名前と名前の間に小さな余白が、あります。
 書かれた文字は大きく濃くあるのに、
 余白の見えない文字は、俯いているようでした。
 書かれた文字が行進してゆきます。
 雨の中、傘を持たず余白は立ったままでした。
 行進している人が最後の人となりました。
 余白が、尻尾を垂らしてついて行きます。
 間をあけて、余白のあとを追うように、
 子犬が歩いてゆくのが見えました。
 
 
 

No.1619 - 2024/11/05(Tue) 00:19:35

Re: 死亡者名簿 / 荻座利守
名簿の余白にあるのは、行方不明の方の名前でしょうか。
それともペットの名前でしょうか。
雨の中、傘を持たずに立ったままの余白の姿が、その悲しみを伝えてくるかのようです。

No.1620 - 2024/11/05(Tue) 06:13:56
渡り鳥 / 石ころ

 私の頭の上に、渡り鳥が止まっています。

 目は一点を見つめ、涙を流しています。

 彼は私の頭を強く蹴って、飛び立ちました。

No.1617 - 2024/11/04(Mon) 18:08:33

Re: 渡り鳥 / 荻座利守
「渡り鳥」は何のメタファーてしょうか。
大切な人の象徴でしょうか。
大切な理想の象徴でしょうか。
その涙はどうにもならない、どうにもできない現実への悲しみを表しているかのようです。
そんな現実の過酷さが、「私の頭を強く蹴って」という表現ににじみ出ているように感じました。
短くとも、とても悲しい詩だと思います。

No.1618 - 2024/11/04(Mon) 20:56:03
ひきこもり / 親指

 もう、支えきれないよ。
 ぼくは、消えます。
 二人とも、やめなさい。
 きょうも、海はきれいね。
 なにを呑気なことを。
 出戻り娘は強いのよ。
 みんなで釣りに出かけましょう。
 母さん、おまえが釣り上手とは知らなかった。
 兄さん、どこ?
 兄さん、海にオシッコしているよ。
 

No.1614 - 2024/11/04(Mon) 04:17:19

Re: ひきこもり / 齋藤純二
作品が十行なのに家族のキャラがよく出ています。
消える、ところから海での開放感に繋がり、
何かと問題があるのだろうが、乗り切れそうですねこの家族なら。

No.1615 - 2024/11/04(Mon) 08:35:55
不可視の姫君 / TA
真っ赤な知恵の実
数えては幾つ?

拒む素肌は肌を拒む
痛む傷跡は生を刻む

血濡れの花は華やぎ
毒蛇は黒い牙を深く
突き刺す

薄汚れた着物はギラギラ吐瀉物の暁
爛れた腕振り回し独り
漆黒の壁を幾度叩く
穢れを抉り咽び泣く

はじまりは春
はらりはらりと寂しげに散る
死桜にはなれない?
果実は熟れて
血の味がする

忘れられないでしょう
ワスレラレナイデセウ

名付けては殺したの
名付けては殺した
わたしとワタシのこと
吊るして殺したの
影だけ残して順番に

形を失った我が子を
名付けては殺したの

忘れられないでしょう
ワスレラレナイデセウ

ああ 棘の生えた
薔薇になりたい
星の涙を砂に埋めて
また夜が来る
黄金色の花街は
行き交う人と人と人

今日も今日とて
石榴色の満月
数えては幾つ?

No.1613 - 2024/11/03(Sun) 23:23:41

Re: 不可視の姫君 / 荻座利守
内面的な苦悩を描いた詩のようですね。
冒頭の「真っ赤な知恵の実」というところは、人間の原罪を連想させます。
そして中盤の「名付けては殺した」というのは、アイデンティティの形成がうまくいかない煩悶を表しているのでしょうか。
また、「棘の生えた薔薇になりたい」とは、美しくとも人を遠ざけるものに憧れているのでしょうか。
タイトルの「不可視の姫君」を含めて、様々な解釈ができる、幅のある作品のように感じました。

No.1616 - 2024/11/04(Mon) 09:35:26
人生 / 親指

 人生は川では、ありません。

 行きつくところは海でも、ありません。

 誕生と死の空が、重なるところ。

 人生は地球と、やっと気づきました。

No.1609 - 2024/11/03(Sun) 11:57:00

Re: 人生 / 齋藤純二
人の命は地球より重たい、というように
人生を見た時の視点が宇宙レベルというのも
精神世界では納得できそうですね。

No.1610 - 2024/11/03(Sun) 12:34:11
浮気 / 忍者

 浮気の花が咲きました。

 雪の花のようでした。

 幸せのあとから、迷子の子が後をついてきます。

 一人二人三人、四人を超えて、五人います。

No.1605 - 2024/11/03(Sun) 11:18:00

Re: 浮気 / 齋藤純二
浮気の花が咲き種子ができ
あららあららと……
頑張って養っていかなければなりませんね。
浮気の花、という表現が凄いですね。

No.1608 - 2024/11/03(Sun) 11:34:53
晴れた日に / 透明人間

 AIが歩いています。
 彼のあとをガラケイが、うつむいて
 歩いていました。
 AIが、つまずいたようです。
 救急車が呼ばれました。
 救急車はAIが、いないので、きょうは休みとのことでした。
 ガラケイが、AIを抱き起しています。

No.1604 - 2024/11/03(Sun) 09:21:37

Re: 晴れた日に / 齋藤純二
近い将来のAI依存への警鐘なのかな、
なんて思い拝読しました。
デバイスや情報の使い方を間違えると
なんだか怖い時代になりそうですね。

No.1606 - 2024/11/03(Sun) 11:22:10
老いた門出 / 石ころ
 
 老いた列車が、うしろから押し車に載せられて
 運ばれていきます。
 転職先の田舎の路面電車に造り替えられるため
 でした。
 
 きょうは、お披露目の日。

 乗っているのは、園児たちばかりでした。
 列車はネクタイをしているようでした。
 窮屈なのか脇腹をかいています。

No.1603 - 2024/11/03(Sun) 08:25:14

Re: 老いた門出 / 齋藤純二
定年後に契約社員として新たな部署で働き出し
今までとは違う仕事着きてちょっと照れ臭い自分のことを
思ったりできた作品でユニークでした。

No.1607 - 2024/11/03(Sun) 11:30:40
三段とび / 中学1年生
   (犬)
 
 犬が吠えている。
 人相の悪い私がいるからだ。
 犬がなきやんだ。
 家から飼主が出てきた。
 犬が尻尾をふっている。
 めしに、ありついたらしい。


   (災害)

 家が流されてゆく。
 岸辺で家族が、それを見送っている。
 土砂が水門を塞いだ。
 首を絞められている拡声器がサイレンを
 鳴らしていた。
 雨が、さらに強くなった。


   (仮面)

 仮面が泣いている。
 親に尻をたたかれた。
 仮面が怒っている。
 彼の足が踏まれている。
 仮面が笑っている。
 尻が、かいーの。

No.1600 - 2024/11/03(Sun) 03:31:54

Re: 三段とび / 齋藤純二
過去にあった出来事を思い出しての三段跳びでしょうか。
首を絞められている拡声器、
なんとなく詰まった声の感じが上手く表現されていますね。
仮面が泣いてる、
深層にある悲しみみたいなのが伝わってきますが、
次に仮面が笑い、尻が痒いというところで
読者はかなり飛べたんじゃないかな。

No.1602 - 2024/11/03(Sun) 07:18:16
ごめんネ / 小指
 
 ごめんネ。
 黙りこんで。
 ごめんネ。
 握った手のひらをひろげられなくて。
 ごめんネ。
 にっこり、できなくて。
 ごめんネ。
 こころに秘めたものができて。
 ごめんネ。

No.1599 - 2024/11/03(Sun) 00:21:45

Re: ごめんネ / 齋藤純二
内情は分かりませんが、
その場の雰囲気から気持ちがとても伝わってきますね。

No.1601 - 2024/11/03(Sun) 07:09:52
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