それはほとんど とおり過ぎてゆくものばかりなのに あなたは留まって 昏い目で見ようとしている
夜行列車にひかりは無用だ としても あなたの掌から発する燐火のような 思い出は 車窓の向こうのもう一人のあなたを 柔らかく写し出してしまったのだ
ああ あなたはやはり 遠ざかるものばかり見詰めている
永遠に交わることのない 二本のレエルが物語る あなたと 思い出の中に揺れる幻想のあなたの 距離という名の不可能を ほとんど あなたは信じようとしないのだ
あなたの背後に愛の風景は 音もなく 滑車のように墜落してしまったのに あなたは死魚の瞳と化して 遠ざかる 薔薇の離別ばかりを見つめている
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No.708 - 2024/01/20(Sat) 00:07:37
| ☆ Re: 車窓の感想文 / 酔呆 | | | 初めまして。酔呆と申します。以後お見知りおきを。 以下、感想文としての「車窓」の書き換えです。
それは とおり過ぎてゆくものばかりなのに あなたはそこに留まり 昏い目で見ている
夜行列車にひかりは無意味だ、でも あなたの掌から発する燐火は 車窓の向こうのもう一人のあなたを 柔らかく写し出してしまう
あなたは 遠ざかるものばかり見詰めている
永遠に交わることのない 二本のレエルと 思い出の中に揺れる幻想
距離という不可能を あなたは信じることができない
あなたの後で愛は、静かに落ちてゆき あなたの瞳は死魚のように 遠ざかる薔薇の離別を見つめている
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No.709 - 2024/01/20(Sat) 01:30:32 |
| ☆ Re: 車窓 / 齋藤純二 | | | 思い出に揺れ幻想しか見えないあなた、と あなたを見ている語り部のふたつの視線が くっきり見え上手に表現されていますね。 時が止まっているあなたへの愁いなのだろう。 現実から遠く離れてしまったあなたの様子が せつなく伝わってきていい作品ですね。
それはほとんど
思い出の中に揺れる幻想のあなた 距離という名の不可能を ほとんど あなたは信じようとしないのだ
この二箇所にある「ほとんど」という言葉に あなたにとってわずかかもしれないが、 現実へ帰ってくる可能性がチラリと見えた気がしました。 いつの日か……、そう思ったりして拝読しました。
雰囲気出ていい作品ですね。 上田さんは完成度を知りたい、とおっしゃっていましたが、 詩をどんどん書いたのち一ヶ月後、半年後、一年後に こちらの作品の完成度が自分でもわかるんじゃないかな、 そんなふうに思います(上田さん書ける方なので)。 過去とのその差が腕を上げたということでしょう。
要はどんなタイプの作品でも バランスが良く書けていれば完成度が高いということでしょう。 バランス感覚をどう得るか、一番簡単なのは真似だと思います。 ひとの作品のいいところを真似る、とか。
それと完成度ばかり求めると、 誰が書いても同じような作品になってしまうので、 褒められたところを伸ばすことも大事だと思います。 詩は個性が「売り」ですからね(楽しいところ)。
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No.713 - 2024/01/21(Sun) 17:32:42 |
| ☆ Re: 車窓 / 上田一眞(じょうでんかずま) | | | 酔呆様
こんばんは。上田一眞です。 よろしくお願い致します。 この度は拙作「車窓」を精読下さいましてありがとうございました。詩は行間で語るとよく言われることですが、僕は正直抒情性のある作品を書くことができません。若い頃に書いたものを大幅に手直しして抒情詩に挑戦した次第です。如何でしたでしょうか。また、投稿しますので是非感想をお寄せ下さい。
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齋藤純二様
いつも丁寧な読み込み、痛み入ります。 雰囲気があるとプロの詩人の方に言って頂けるのはとても嬉しいことです。 自分ではいろいろなタイプの詩に挑戦したくてこちらの掲示板に投稿しています。 MY DEARに投稿されているタイプの作品をいま僕は書くことができません。やはり歳をとってますから頭が硬くなってるのでしょうね。何とか打破しなくてはと思い挑戦しています。 また投稿しますので評価を下さるよう宜しくお願い致します。
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No.714 - 2024/01/21(Sun) 22:32:48 |
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