夜、目が覚めた。 寝てる間に いつの間にか 重力に好かれた私は、 地球の一部になっていたようだ。 どうにか必死な思いで ベッドから私の体を メキメキっと 引き剥がした。 そして まだ重力に好かれている私は 重たい体をひきずり 新鮮な空気を求め 窓に向かった。 頭にノイズがかかった状態で、 ブァッと窓を開ける。 逃げ込んできた風が 私を包み込む、 夜の匂いが私を抱きしめてきた。
ふと私は違和感を覚え、 脳内には金属の破片が散りつく。 不思議な感情が頭の中で反射する。 息を呑む 呼吸ができない、 信じられないが 夜の街は水で満たされており、 そこは深海だった。
辺りを見渡す。 沈んだ街は静けさに包まれ、 人もいなければ あるのはその痕跡だけ。 唯一届く光は 月の光。 恩恵を受け、 自ら光ることのできない 月の光。 その光が街に、 静かに。 でも確実に 優しくスポットライトを当てていた。
そのスポットライトに 抜け殻のような私は どうしても当たりたくて、 見つけて欲しくて、 触れたくて 苦しい体勢で 無理矢理、 窓から顔を出し 上を見た。
すると、 あっとするような でっかい鯨が ビルの頭上を渡り 月の光を遮っていた。 眠った街を 鯨は重低音で さらに鎮めるかのように 独特の鳴き声を頭から響かせ まっすぐに、 ゆっくりと 前進していた。
それを見て まるで 当たり前であるかのように 違和感はなく、 日常であるかのように 感動もなく、 でも それは
とてつもなく美しかった。
脳内の金属の破片は削れてなくなり、 再び時計は動き出す。
そして青色の夜は終わりを迎えた。
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No.2351 - 2025/07/05(Sat) 01:44:06
| ☆ Re: 青色の夜。 / 荻座利守 | | | 幻想的で美しい詩ですね。 「いつの間にか/重力に好かれた私」「ベッドから私の体を/メキメキっと/引き剥がした。」「夜の街は水で満たされており、/そこは深海だった。」「恩恵を受け、/自ら光ることのできない/月の光。」 これらの表現が夢想的で美しく、巧みだと感じました。 さらに、巨大な鯨がビルの上の空をゆったりと渡り、重低音の声を響かせるイメージ、そしてそれが、ごく当たり前の日常のように感じられたこと、それらが、美しさの中にほのかな優しさを感じさせて、とても印象的でした。 日常の表面的な出来事に埋没していては、書くことのできないような詩だと感じました。
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No.2354 - 2025/07/05(Sat) 10:48:52 |
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