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気がかり / 千輪
あなたの後ろに誰もいないって
誰が約束してくれたのですか
隣に覗き込む影がないって
誰が確かめてくれるのですか
どこにも見下ろす視線がないって
誰が見ていてくれるのですか
あなたの寝具の中には
本当に誰もいないのですか?

ふと響いた軋む音は
本当に劣化なのですか
どこかで聞いたあのお話は
ただの虚構なのですか
届いた典型の怖いお手紙は
だれかのおふざけなのですか
あなたの視界の端の暗闇は
ただの暗闇なのですか

いいえ

子どもの頃のあの感情は
本当に薄れているのでしょうか
暗い廊下の先の黒には
誰も立っていなかったでしょうか
学習机の下の暗がりに
誰の手もなかったでしょうか
あなたの頭の後ろの暗がりは誰なのですか?

あの写真の隅の模様は
誰かの顔ではなかったですか?
電源を落としたスマートフォンに
映るのはあなただけでしたか?
夜更かしの夜のふとしたときに
動くのが怖くなりませんでしたか?
今日あなたは誰に起こされたのですか?
ひとりでに?

いいえ

No.4100 - 2026/07/03(Fri) 00:59:47

Re: 気がかり / 荻座利守
タイトルの「気がかり」とは、この世のものならぬ魑魅魍魎への直感だったのですね。
「暗い廊下の先の黒」「学習机の下の暗がり」というところを読んで、すっかり忘れていた子供の頃のの感覚を思い出しました。
それらは愚にもつかぬ妄想、と切り捨てられることが多いですが、実はとても大切な感覚なのではないかと、この作品を拝読してそんなことを思いました。

No.4102 - 2026/07/03(Fri) 08:29:31
/ 落陽
“君の声が聴こえた”
僕には聞こえなかったはずの君の声が。

僕のスマートフォンから流れる君の声はあまりに儚く壊れそうで

今にも電波の海に消えてしまいそうだった

No.4098 - 2026/07/02(Thu) 21:10:02

Re: 雛 / 齋藤純二
喪失と再会のあわいの瞬間を切り取る作品は、
題名の「雛」も相まって、弱くて壊れやすいものを
そっと手のひらに乗せて眺めているような印象と
儚さを感じる作品でした。

No.4101 - 2026/07/03(Fri) 07:35:40
青鈍 / すもも
海の果てをみつめるんだ
みるんだ
落し物はないかもしれないが

愛があり
哀しみがあり
甘い眠りがあり

つぶつぶの水面
浪漫さえ汚染され
反抗の代償に得た自由

つづく、つづく広すぎる世界
わがみの生

それでも帰るよ
ただいまと言うよ
どうだった? 笑うきみに
嘘を言うよ
世界でいちばん、
うつくしい落陽をみた、と

No.4092 - 2026/07/02(Thu) 16:30:12

Re: 青鈍 / 荻座利守
「青鈍」とは哀しみの海の色でしょうか。「世間」とか「世の中」とか呼ばれる哀しみの海。
自由とは孤独の裏返しなのかもしれません。
そんな孤独に触れたなら、「世界でいちばん、うつくしい落陽をみた」と、嘘をつくしかないのでしょうね。

No.4097 - 2026/07/02(Thu) 19:29:34
ゆめ / 落陽
夢を見た。

果てしなく拡がる山の様な。

深く憂う滄海の一粟の様な。

頂上から見た眺望は深淵に苛まれ、
来たるべき刻をただ待つように。

No.4091 - 2026/07/02(Thu) 13:41:23

Re: ゆめ / 荻座利守
「滄海の一粟」。
中国の古典、『前赤壁賦』に出てくる言葉ですね。
「来たるべき刻をただ待つ」とは無常の表れでしょうか。
それとも永遠の刻の相貌でしょうか。
永遠と転変とは表裏一体なのかもしれませんね。

No.4096 - 2026/07/02(Thu) 19:22:26
「希望の灯」 / 万年 草
まるで長い夜が明けるように
苦しみぬいた日々が過ぎてゆく
それは当て所もない永遠の旅だった

やり切れぬ思いに己を責めて
自らを傷つけ痛めたあの日

けれども微かに灯っていた希望の灯が
躓き転げて煤けた自分を
地獄の底から救い上げてくれた

あぁ生きていてよかった
そう思える日常が
今静かに蘇って来る

心の器から溢れ出た切なさは
決して無駄ではなかった
壊れかかった哀しき感情は
時を経て歓喜の歌へと変わってゆく

いつまでも胸に希望の灯がある限り
僕はまた生きて行ける
ありがとう灯よ

いつかまた心が折れそうなときは
君を頼りに再び立ち上がってゆくよ

No.4090 - 2026/07/02(Thu) 12:53:37

Re: 「希望の灯」 / 荻座利守
この詩を拝読して、暗闇の夜に点る灯台を思い浮かべました。
生きていれば夜は訪れるものですが、そんな暗闇のなかで灯台にも出逢うのなのでしょう。
いつも心の中に灯台を持って、いつか誰かの暗闇の道標となってみたいと思います。

No.4095 - 2026/07/02(Thu) 19:13:51

Re: 「希望の灯」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
そうですね、希望の灯を絶やさぬように
いたいですね。

No.4103 - 2026/07/03(Fri) 14:43:01
あげます / 健
あげます

わたしのこころ

あげます

わたしのおもいで

ありがとう

めぐみのすべて

わたしいま

しあわせです


01/07/2026
13番線にて

No.4087 - 2026/07/02(Thu) 07:03:37

Re: あげます / 荻座利守
しあわせな人は、そのしあわせを、三人の人に分けてあげて、
しあわせを分けられた人は、更にまた別の三人の人に、そのしあわせを分けてあげる。
昔そんな話があったことを思い出しました。
そういうことをしようとする意思が、恵みなのでしょうね。

No.4094 - 2026/07/02(Thu) 19:09:35
ピアノ / 健
ピアノ

きみはいつも

だまっている

そっと しずかに おごそかに

でもたまに

ぼくにいうんだ

人生意外と悪くない

そっと しずかに おごそかに

きみにまたいつ

あえるだろう

またね またね げんきでね

01/07/2026
6番線にて

No.4086 - 2026/07/02(Thu) 07:02:31

Re: ピアノ / 荻座利守
楽器であるピアノが、いつもだまっている、というところが面白いですね。
ピアノの黒さは、厳かさを連想させます。(今ではいろんな色がありますが…)
このピアノの沈黙が、どこか人生の厳しさを語っているかのようです。

No.4093 - 2026/07/02(Thu) 17:35:43
コモン=センス / 千輪
ふと頭に浮かんだ四小節
口ずさみつかんだ予行練習
人類誰もが切り離せない
これらが俺らのコモン=センス

いまやタイピングひとつで生み出されるが
それでは熱が上がらないのです
人手ひとつでひと手間かけた
経過に抉られて泣くのです
まだ見ぬ未来に砕かれるなら
艱難辛苦期待は捨てなさい
悲しく思われるのならばそう
あなたが作るのコモン=センス

誰だって昔はこっち側
いつから現実みちゃってんだ
早々離脱なら消耗側
狂騒狙うなら創造側

過ぎ去ってゆく数秒に思いを馳せて

僕らは区別がつかないからこそ
仄めかして生きていく
どんなに小さな音だって
鳴っているなら意味がある
誰にも気づかれない
微かな暗号を忍ばせたって
全て自己満でしかないのかもね
それがそれこそが
俺らが求めるコモン=センス

実体がなくともそれでいいよ
抽象的だってそれでいいよ
数人しか見なくてもそれでいいよ
筆をとったのならそれだけで
塗り替えず継ぎ足して増えてゆく
吸い取って取り込んで伸びてゆく
昔と変わらずに歌い出したなら
作られてゆくコモン=センス

No.4085 - 2026/07/01(Wed) 22:20:25

Re: コモン=センス / 齋藤純二
リズムがよく創作に対する熱量がかなり強く伝わってくる作品でした。
消耗側、創造側、など印象に残る言葉も多くて良かったです。
カッコいい作品だな、と思いました。
もし、意図がなければ「僕」と「俺」は統一した方が良いかな、と。

No.4089 - 2026/07/02(Thu) 07:40:30
叶はぬ願ひて / 双葉雨希
叶え叶えと思うたび、
遠い彼方のものと知る。

辛い辛いと嘆くほど、
努めし例もついぞなく。

時の流れに身を任せ、
あれよあれよと流され行けば、
流れ着いたはその先の、
暗い暗い道の果て。

青く白く光の灯る、
蘭丹提げた男が語る。

どうぞ此方が地獄で御座る。
ちょいと後ろをついて来なはれ。

No.4083 - 2026/07/01(Wed) 22:00:11

Re: 叶はぬ願ひて / 双葉雨希
タイトル「叶はぬは願ひて」です。
No.4084 - 2026/07/01(Wed) 22:14:24

Re: 叶はぬ願ひて / 齋藤純二
古風な言葉遣いが統一されていて、
静かに絶望へ向かう流れがとても印象的でした。
特にラストの語り口が不気味な余韻があり、
とても良かったです。

No.4088 - 2026/07/02(Thu) 07:28:03
風邪 / 能無しの洋梨
風邪っぽいので
学校へ行きます
忌み嫌い渦巻くあの場所へ
てくてく歩いて
歩いて

熱もまだ出ていないし
少々唾が飲み込みずらいだけだし
理由付けにはまだ足らない

今日だけは
倦怠感とお友達

リンパのあたり
少し痛い
それでも
理由にはまだ足らないから
あえて無理をする

頭痛もまだないし
まだ風邪と判断するには
まだ早い
早い

この体の不具合も
なんだかおもしろくて
笑えてくる
ははは

まだ症状は軽いから
まだ大丈夫でしょう
まだ終わってない
始まってない

明日もこうだったらいいな
いいな

No.4080 - 2026/07/01(Wed) 07:20:17

Re: 風邪 / 荻座利守
実体験をもとにした詩のようですが、冒頭の「風邪っぽいので/学校へ行きます」という表現が、逆説的で面白いです。
また、「この体の不具合も/なんだかおもしろくて/笑えてくる/ははは」というところも、風邪のひき始めの、どこかボーッとした感じがうまく表されいますね。特に「ははは」と、ひらがなを連ねた表現がいいです。
そして、末尾の「明日もこうだったらいいな/いいな」というところに、普段は色々と気を遣って疲れている様子も窺われます。
なかなか味のある作品です。

No.4082 - 2026/07/01(Wed) 07:30:38
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