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黒い聖書 / 霧
「ある夜、西の方角。金星と。
 拡大縮小を繰り返す小宇宙。
 時空の狭間から覗く。
 色とりどりの輝く天体。
 あるいは二匹の蜉蝣の顔。
 舌なめずり。真っ黒な本。
 楽しそうな読書。
 森羅万象、この世のすべて。
 あの闇の向こうから生まれた。
 ママがそう言ったの。
 パパは何も聞いていないの。」
 
さあ悪徳の始まりだ
清きものは産めよ増やせよ
我ら神の子 正義の子

殺し争う定めならば
罪びと浄化し隣国滅ぼせ

毒の稲穂は実りに実り
過去の栄華は歴史に眠る

我ら神の子 正義の子
高き教えは 隣人愛せ

禁断の果実 世界に一つ
誰かが食べたら
誰もが狂った

さあ悪徳の始まりだ
清きものは産めよ増やせよ
我ら神の子 正義の子

果てるまで流そう 血と汗と涙
誰かの頭蓋を 十字に巻き付け

それが私だ
それがお前だ
あるいは誰かのママで
誰かのパパで

No.1216 - 2024/07/04(Thu) 00:23:07

Re: 黒い聖書 / 荻座利守
宗教戦争や狂信をイメージして書かれた詩でしょうか。
悪を悪と認識して行うことと、正義の名のもとに正義だと信じて悪を行うこととは、表裏一体なのかなと、この詩を拝読してそんなことを思いました。
末尾の
「あるいは誰かのママで
 誰かのパパで」
というのがシニカルな感じでいいですね。

No.1217 - 2024/07/04(Thu) 07:03:55

Re: 黒い聖書 / 齋藤純二
悪徳が正義、正義が悪徳?
概念が思想で変わる感じが恐ろしいですね。

No.1218 - 2024/07/04(Thu) 07:51:00

Re: 黒い聖書 / 霧
荻座利守さん

ご感想頂きありがとうございます。
自分にとっては縁遠い、戦争に対するもやもやした感情を言葉にしてみました。


齋藤純二さん

ご感想頂きありがとうございます。
私も正義や悪徳という言葉は、人の心の拠り所になるというところが恐ろしいと思います。

No.1225 - 2024/07/06(Sat) 19:48:33
「さびしんぼうの子守唄」 / 万年 草
小さな部屋の片隅で
さびしんぼうがただひとり
膝を抱えて泣いている

夜が長いか切ないか
小窓の月が慰める
何がお前を泣かせるの
今夜は泣くだけ
泣くがいい

たっぷり涙を流したら
長い夜も明けるだろ


小雨のそぼ降る街角で
さびしんぼうがただひとり
傘もささずに泣いている

雨は寒いか冷たいか
街のネオンも気に掛ける
何がお前を泣かせるの
今夜は泣くだけ
泣くがいい

たっぷり涙で濡れたなら
冷たい雨も上がるだろ

No.1212 - 2024/07/03(Wed) 15:52:33

Re: 「さびしんぼうの子守唄」 / 荻座利守
雨に滲む夜の街のネオンの灯りは、どこか哀愁を感じさせますね。
都会に生きる者の孤独を表しているように感じます。
夜の雨に涙を流し尽くした後には、きっと笑顔を取り戻すのでしょう。

No.1214 - 2024/07/03(Wed) 16:35:37

Re: 「さびしんぼうの子守唄」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
そうですね。涙の後には笑顔ですね!

No.1219 - 2024/07/04(Thu) 14:42:16
ブーメラン その二 / 久保田
様々な周波数の空気振動を利用して虚偽の利益を得る者がいた

奸計が脳内で沸騰し口から無数の水蒸気のブーメランが各方面に飛び出していった

ブーメランは所有権の移動を促すこともあった

ブーメランは紙幣をもたらすこともあった

ブーメランは人の心にぶつかることもあった

ブーメランの威力は天にも響き渡った

しかしながら、ブーメランの使用法によっては後払い制と定められており徐々に償還日を迎えつつある

飛ばすブーメランの内容に関して事前に永遠の時間との兼ね合いを検討することの重要性を示している

No.1210 - 2024/07/03(Wed) 08:29:37

Re: ブーメラン その二 / 荻座利守
このブーメランとは経済政策のことでしょうか、それとも財政や赤字国債のことでしょうか。
もしそうでしたら、いずれにしても将来への影響をよくよく考慮しなければならないのでしょう。

No.1213 - 2024/07/03(Wed) 16:24:36

Re: ブーメラン その二 / 久保田
荻座様、感想をありがとうございました。励みになります。様々な事象における負の遺産はやがて支払いの時を迎えます。不完全な存在である人間ですが、よく考えて行動するほうが良いと思い、それを詩にしてみました。
No.1215 - 2024/07/03(Wed) 22:35:25
「笑っていよう」 / 万年 草
野原に揺れる
お花のように

雨の降る日も
晴れの日も
空を見上げて
笑っていよう

今日はつまづき
転んでも
笑って明日を
迎えよう


森でささやく
小鳥のように

風が吹く日も
雪の日も
明るく元気に
笑っていよう

今日は涙を
流しても
笑って明日を
過ごそうよ


笑っていよう
どんな日も
笑っていよう
つらい日も

笑っていれば
そのうちに
必ずいいこと
やってくる

信じて今日も
笑うのさ

No.1207 - 2024/07/02(Tue) 14:37:28

Re: 「笑っていよう」 / 齋藤純二
どんな時も自然の囁きがあり
自分を信じさせてくれる時間を与え
そして少し折り合いのついた心になり
微笑むことができるのだろう、
と思いながら拝読させていただきました。

No.1208 - 2024/07/02(Tue) 20:27:50

Re: 「笑っていよう」 / 荻座利守
「笑う門には福来る」
この詩を拝読して、その言葉を思い出しました。
笑うということには、普段我々が気づいていない大きな力が宿っているのかもしれませんね。
その力を
「信じて今日も
 笑うのさ」
という姿勢で生きてゆきたいと思います。

No.1209 - 2024/07/03(Wed) 08:26:56

Re: 「笑っていよう」 / 万年 草
齋藤様、
ご感想ありがとうございます。
笑えることが何よりですね。

荻座様、
ご感想ありがとうございます。
そうですね、笑うことの力を信じて、
これからも生きてゆきたいと思います。

No.1211 - 2024/07/03(Wed) 15:47:01
「花は咲く」 / 万年 草
きっと
きっと
いつか

花咲く時が
やって来るって
信じていれば

本当に花は
咲くんだからね

絶対に
最後まで
あきらめちゃ
ダメだよ

No.1204 - 2024/06/27(Thu) 14:19:50

Re: 「花は咲く」 / 荻座利守
花の中には、咲くのに冬の寒さを経ることが必要なものが多いそうです。
そんな「花が咲く」ということは、再生と希望の象徴でもあり、人生の永遠のテーマでもあると思います。
ですからまさしく、
「絶対に
 最後まで
 あきらめちゃ
 ダメだよ」
なのですね。

No.1205 - 2024/06/28(Fri) 09:01:22

Re: 「花は咲く」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
いつか花が咲くと信じて、
あきらめずに生きてゆきましょう!

No.1206 - 2024/06/28(Fri) 15:55:44
ブーメラン / 久保田
詐欺師が汚物を塗ったブーメランを飛ばした
ブーメランは高々と山を超えていった

詐欺師はいい気になってまた汚物を塗ったブーメランを飛ばした
ブーメランは高々と空を超えていった

ブーメランは見えなくなった
見えないブーメランが直撃し詐欺師はずっコケた

No.1200 - 2024/06/23(Sun) 15:57:19

Re: ブーメラン / 荻座利守
「汚物を塗ったブーメラン」というのが独創的で面白いです。
ブーメランは見えなくなったというのもいいですが、初めから見えてなかった、自分が飛ばしたのがブーメランだと気づいていなかったという設定でも、ブーメランというメタファーがより生きてくるようにも思います。
でも、全体的にユーモラスで面白いです。

No.1201 - 2024/06/23(Sun) 17:26:19

Re: ブーメラン / 齋藤純二
悪さをしようとして
けっきょく自分に戻ってきて直撃したブーメラン。
滑稽で笑えました。

子どもの頃
自分が掘った落とし穴に落ちたのを思い出しました。
「誰だよこんなところに落とし穴を、ああオレが掘ったんだ」🕳️

No.1202 - 2024/06/23(Sun) 21:44:43

Re: ブーメラン / 久保田
荻座様、齋藤様、感想をありがとうございます。人間に完璧はあり得ず滑稽な存在だと思います。そういう笑える存在を笑うことは正しいと思います。笑って頂けますと本望です。
No.1203 - 2024/06/24(Mon) 07:37:53
/ 久保田
この世からあの世に移行するとさらに鮮明に映る

鏡に映った姿は自分自身である

なぜそうなるかというと神様が存在するからである

入り口にさしかかって見えてきたかもしれない

それぞれの魂がそれぞれの適したところへ行く

自らを反映した世界で永遠の時を過ごす

すべては神様が決めること

これでいいのだ

No.1196 - 2024/06/22(Sat) 07:07:22

Re: 鏡 / 荻座利守
浄玻璃の鏡のようですね。
自分自身の姿や行いが、ありのままに見せつけられるのは、恐ろしい気もします。
でも、明確な根拠を提示されたほうが、その後の行先について納得がいくのでしょう。
「これでいいのだ」ということですね。

No.1197 - 2024/06/22(Sat) 16:41:49

Re: 鏡 / 齋藤純二
人として生きてきた評価が示されるようで
生きた心地がしないようですね、
ああ、そこはもうこの世ではないので生きていないから、
納得する自分が鏡で見られるよう今を精進して、
なんて思いながら拝読いたしました。

No.1198 - 2024/06/22(Sat) 16:56:30

Re: 鏡 / 久保田
荻座様、齋藤様、感想をありがとうございます。私もバカですが、この世はもともとバカ者どもの大舞台です。天国にいる人は人間の存在を眺めて笑い転げていると思います。ドストエフスキーの罪と罰における心理描写は確かですが、バカな感覚は身に覚えがあるので、自分を笑ってしまいます。神様は完璧な人間が存在しないことをよく知っていると考えられるので、進んで悪事を働かなければ大丈夫だと思います。
No.1199 - 2024/06/22(Sat) 20:25:32
「大和撫子 やまとなでしこ」 / 万年 草
せせらぎ香る
川のほとりで
まるで舞い遊ぶ
乙女のように
咲き誇る

薄紅色の
大和撫子

いたずらな
初夏の風に
揺れながら
君は何を
想っているのだろう

ほのかに漂う
甘い香りに誘われて
ひとり川辺を
さまよえば

草木に紛れて
乙女は笑う
夏の初めの
撫子よ

昔恋した
人に似て
愛しき花よ
撫子よ

今年も可憐に
咲き誇り
熱き想いを
揺り起こす

No.1192 - 2024/06/20(Thu) 14:24:57

Re: 「大和撫子 やまとなでしこ」 / 荻座利守
川辺に咲く可憐な撫子の花に、昔恋した人の姿を観る様子が、美しく描かれていますね。
薄桃色の撫子の花言葉は「純粋な愛」だそうですが、その想いを彷彿とさせる詩だと感じました。

No.1193 - 2024/06/20(Thu) 19:22:49

Re: 「大和撫子 やまとなでしこ」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
そんな花言葉があったのですね、
素敵ですね!
今自宅で、カワラナデシコの花が、
咲き始めていて、昔、河原で見つけた時の、
感動を詠んでみました。

No.1194 - 2024/06/21(Fri) 14:22:11
永遠に死んだ / ぞう皮
そろそろ死んだら良いですが
そつない日々を過ごすままです
ひとりを確信していますから
特に何も求めません
座って半畳、寝て一畳
墓の位は八寸と申します
わたしがわたしであるならば
そろそろ死んだら良いですが
死は永遠に死にました

No.1189 - 2024/06/20(Thu) 02:11:22

Re: 永遠に死んだ / 齋藤純二
短めの作品は難しいのですが、
言葉のリズムもよくまとまっています。
ひとつ確信している、と言い
それがなんだろう、
と読者もおのおの考えることでしょう。
語り掛けの口調もいい感じです。
そしてシメ、死は永遠に死んだとあり
「確信」が何か吹っ切れた要因になったのだろうか……

No.1190 - 2024/06/20(Thu) 06:22:21

Re: 永遠に死んだ / ぞう皮
斎藤 純二さま

読み解くような評をいただいてありがとうございます。

"27クラブ"というものがあって、それについて書いたわけではないのですが、
根っこの文脈というか精神性は、模倣してしまっているかもしれません。
改めてありがとうございました。

No.1195 - 2024/06/21(Fri) 18:53:10
ルシファー / 霧
アジアの果てで
形のない敵に花を贈ろう
胸に咲く小さな花 手折るのだ
名残惜しくも仕方がないね

忘れられない 神の寵愛
ああ きらきら なんと眩しい

触れ合うたび 結晶する欲望 
アダム イブ あるいは ルシファー 
天は恐れ おののいた

光と共に落ちていく
私は無である

それは 血に飢えた獣
それは 奇怪な生命体 
それは 愛と憎しみ

アダム イブ あるいは ルシファー
命を燃やし光を放つ
光が一目散に逃げていく
私は無である

眠りの中で 震えて跪け
気が触れ 心渇き 焼かれ 
行く当てを見失おうと
闇の彼方 お前は一人
祈れ我が名を
我はルシファー 欲望の果て
永遠さえも超えて お前の血を求める 

No.1188 - 2024/06/20(Thu) 00:54:52

Re: ルシファー / 齋藤純二
光から闇へ
それが心の赴くままであり無ということなのだろうか。
未練を断ち最強への決意を語り掛ける作品は、
とても迫力があり読み応えがありました。

No.1191 - 2024/06/20(Thu) 06:44:08

Re: ルシファー / 霧
齋藤純二さん

ご感想頂きありがとうございます。
最愛の存在に見捨てられたと感じた人は自分には何もないと考えるのかな、そういう人も元気でいてほしいなという思いで詩を書きました。

No.1224 - 2024/07/06(Sat) 19:47:56
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