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君の選択 / 久保田
悪の伝道師が地獄へと誘う
君は地獄を選択するのか

悪の伝道師が地獄へと誘う
君は地獄が怖くないのか

悪の伝道師が地獄へと誘う
本当に君は地獄に行くのか

悪の伝道師が地獄へと誘う
君は地獄に行ってしまうのか

No.1042 - 2024/04/21(Sun) 18:42:05

Re: 君の選択 / 荻座利守
リズム重視の詩だと感じました。
また、全体から漆黒の闇も感じられます。
闇を描くときは、一条の光を入れると、闇がより際立ちますので、それもひとつの方法かと思います。

No.1044 - 2024/04/21(Sun) 20:47:12

Re: 君の選択 / 久保田
荻座様、ご教授、ありがとうございました。反対の性質のものを少しだけ入れることにより強調することができるのですね。勉強になりました。ありがとうございます。
No.1046 - 2024/04/21(Sun) 21:00:30
帰れない / M・K
家でずっとは
見てあげられない
娘は母親を
病院へ連れていく
そして処方してもらう

その薬は
睡眠導入剤といい
今より更に強い薬で
強さ的にいうと
真ん中あたり
それと新しい薬が増えた
精神安定剤で
不安症状が出た時や
寝る前の薬と
一緒に服用しても良いそうだ

お泊りの施設に帰ってきて
仲良く手を繋いでいる
だがもう
玄関でお別れだ

心の中で
言葉には出来ないが
つっかえているものがある

不安なのは
家に帰れないからだ
不安なのは

あなたがいないからだ

いてあげたくても
色々な諸事情があり
できない
それが現実

理性では
到底生きていかれない
母親は辛いだろう

あなたが
精神安定剤なんですよ
目が合った時
心の奥底で
わかっている眼差しに見えた

記憶を失っていく恐さ
記憶が全て
消されないように

あなたの名前を
何度も書いてと頼まれて
大事な杖に
貼ってあげた

家に
帰りたいのだろう
今日は
他に誰か来ますか?

帰ってきたばかりで
そうやって尋ねてこられる

家に
連れて行ってくれる
家族の迎えを
心からいつも待っている

顔は忘れてしまっても
覚えている
あなたの
名前を
呼んでいる

No.1039 - 2024/04/21(Sun) 02:16:00

Re: 帰れない / 荻座利守
とても哀しい感じの詩ですね。
特に、
「あなたが
 精神安定剤なんですよ」
「あなたの名前を
 何度も書いてと頼まれて
 大事な杖に
 貼ってあげた」
というところから、切ない想いがひしひしと伝わってきます。
読む者の心を揺さぶる優れた詩だと思います。

No.1040 - 2024/04/21(Sun) 08:41:09

Re: 帰れない / 齋藤純二
記憶が失っていくことがわかっていて、
娘の名前を忘れないようにと母親に頼まれ
杖に名前を貼るシーンは切なさがとても伝わってきます。
そして、あなたが精神安定剤なのよ、と
娘が母親の様子から察している場面からは、
家に帰れなくてごめんね、そんな声が聞こえてきます。
なるべく家族がお話の相手になる時間が得られるといいですね。
とても気持ちが伝わるいい作品です。

終わりから二連目は語り部の言葉で、
最終連は母親の言葉になっていると思いますが、
ここはあなたが精神安定剤、の場面のように
母親の言葉としての表現で示し読者に伝えたほうが、
すんなりと拝読できるでしょう。

No.1041 - 2024/04/21(Sun) 15:53:18

Re: 帰れない / M・K
荻座利守 様

ご感想ありがとうございます。
哀しい詩になってしまいました。介助で常々見ていると記憶を失っていく怖さと家に帰りたいのに帰れない姿は不憫で仕方ありません。親子で一緒にいる姿を見た時、薬情の説明を聞いていて、薬に頼るしかない現状が辛く詩にしてみました。
人の事と思いながらも、涙が出てしまいます。お褒め下さりありがとうございます。

No.1055 - 2024/04/23(Tue) 14:10:33

Re: 帰れない / M・K
齋藤純二 様

ご感想ありがとうございます。
最終連のアドバイスもありがとうございます。

 
伝わっているかいないか気になったので、一応九連目を説明すると、
上二行は語り部の言葉で下三行は語り部から見た娘の眼差しでした。
読む側からすると、説明というか言葉が足りてなかったらすみません!
言葉は難しいですね。。。詩で伝えても親子の問題が解決するわけではないですが、こちら側が哀しいなら本人同士はもっと哀しいですよね。。介護も良い方向に進むと良いです。
お褒め下さりありがとうございます。

 

No.1057 - 2024/04/23(Tue) 14:41:40
森を歩く / 人と庸
深い深い森に足を踏み入れた
木々の高さはどれも果てしない
てっぺんは春霞の空に溶けている

人々は思い思いの木から一枚二枚と葉を手に取る
この星の先人たちが残した智恵の葉だ
気に入った葉を見つけた人は
それを宝物のように抱えて帰っていく
よりよく木を眺めるため
新しい枝をつけるため
或いは余暇を楽しむために

私は自分の葉を見つけられずにぐるぐる歩いた
ぐるぐる
ぐるぐる

上を見上げては
ぐるぐる
ぐるぐる

圧倒される
木々の高さに
圧倒されて
涙した

ここまで高く大きく育つのに
何百年何千年かけて
何万人何億人の人々が
自分を信じて歩み続けてきたのだろう

ようやく葉っぱのひとつを手に取ることができた
よく見ると 木の根もとに一本の線がある
物事のおおもとは木の根もとにあるのだと
ポケットに忍ばせた光が教えてくれた

No.1033 - 2024/04/20(Sat) 12:05:29

Re: 森を歩く / 齋藤純二
森を歩くこと、知恵の葉を見つけ出すことは
人生においての自分探しのように感じながら拝読しました。
木の根もとに一本の線は、土にしっかりと根付く安定感、
私もしっかりひととして足を地につけ
歩いて行かなくちゃなあ、と思いました。
森の木々から圧倒される雰囲気も味わえていい作品ですね。

No.1034 - 2024/04/20(Sat) 15:24:51

Re: 森を歩く / 人と庸
齋藤様
ご感想ありがとうございます。

前回の投稿でもご感想いただいたのに、後ろ向きなことを言ってしまってすみませんでした。

先日大型書店に行きました。
私の住んでいる所はそれほど大きな書店はないので、隣の県まで足を運びました。
そこに行くのは初めてではないんですが、やはりたくさんの本が背の高い本棚にぎっしりと詰まっているのを見ると、圧倒されます。
大げさかもしれませんが、本棚の間を歩いていると、森の中を歩いているような気持ちになったので、拙いながらそれを書いてみました。

No.1035 - 2024/04/20(Sat) 19:37:51

Re: 森を歩く / 人と庸
荻座様にも、すみませんでした。
No.1036 - 2024/04/20(Sat) 19:48:43

Re: 森を歩く / 荻座利守
「後ろ向きなこと」とは、ぐるぐると迷ったことでしょうか。
迷わずに目当てのものを見つけられるのがベストなのかもしれませんが、誰もがそう上手くできるとは限りません。
見方を変えれば、前に進もうとするからこそ迷うのだとも言えます。
もし迷ったのなら、その時観た景色を忘れないでいてください。後の詩作の糧になる可能性もありますから。

No.1037 - 2024/04/20(Sat) 22:07:36

Re: 森を歩く / 人と庸
荻座様

いえ、前の投稿の感想をいただいて、それに対してのお礼の返信をした時に「投稿したことを後悔してしまった」と言ったことです。

ネガティブな性格はなかなか直りませんが、今は周りの景色をよく見ようと思っています。

温かいお言葉、ありがとうございます。

No.1038 - 2024/04/21(Sun) 00:25:49
「希望を求めて」 / 万年 草
どんな日も
いつの日も
希望を求めて
歩いてゆこう

雨がさらった
荒地にも
いつか花咲く
時が来るから

心に希望を
抱きつつ
歩いてゆこう
どこまでも


つらい日も
苦しい日も
希望を求めて
歩いていたら

そのうち大きな
虹が出る
いつか幸せ
やって来るから

胸に希望を
描きつつ
歩いてゆこう
これからも


希望があれば
なんでも叶うよ
どんな時でも
希望を追い求める
気持ちがあれば

それだけで
ただそれだけで
人は幸せになれるよ

No.1030 - 2024/04/19(Fri) 16:00:26

Re: 「希望を求めて」 / 荻座利守
どこか意味深長な感じのする詩ですね。
7連目の「叶う」と8連目の「幸せ」について、深く問われているような気もします。
幸せとは何か。
叶うとはいかなることか。
我々はそのことを真剣に考えなければならないのかもしれません。

No.1031 - 2024/04/19(Fri) 22:29:45

Re: 「希望を求めて」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
そんなに難しく、お考えにならなくても
大丈夫ですよ。

希望を持ちにくい世の中なので、
少しでも、読まれる方に
希望を持っていただけるように、
書いてみました。

No.1032 - 2024/04/20(Sat) 09:44:27
「武器を置いて」 / 万年 草
もうこれ以上
傷つけ合うのは
やめにしないか

武器を置いて
話し合おう

お互いのために
いったい何が
必要なのかを

そして
傷つけあわずに
解決できる方法は
ないのかということを

必ず見つかるはずさ
これ以上傷つけあっても
何も変わりはしないから

今こそみんなで
武器を置いて
大いに話し合おうじゃないか

お互い血の通った
人間同士
きっと分かり合える
はずだから

武器を置いて
武器を置いて
腹を割って
話し合おうよ

No.1027 - 2024/04/16(Tue) 14:24:45

Re: 「武器を置いて」 / 荻座利守
今なお世界にはいくつもの武力紛争があります。
紛争の要因は様々かつ複雑で、停戦への道のりは困難なようですが、諦めることなく、平和を求めてゆかなければならないでしょう。
「お互い血の通った人間同士」ということを忘れないようにしたいと思います。

No.1028 - 2024/04/16(Tue) 16:56:16

Re: 「武器を置いて」 / 万年 草
荻座様、
ご感想ありがとうございます。
そうですね、平和を強く求めてゆきましょう!

No.1029 - 2024/04/17(Wed) 15:49:59
詩を投稿されるみなさまへ / 齋藤純二
こちらの『初心者向け詩の投稿掲示板』では、
MY DEARの詩の掲示板へ詩の投稿することに
自身のレベルでは自信がなかったり、
まだ詩を書き始めた方のために開設した詩の掲示板です。

詩を書く力量のある方がこちらに投稿し、
初心者の方が投稿することに躊躇されてしまうと
初心者向けの掲示板という意味がなくなってしまいます。
そのような理由から、こちらの掲示板の
『投稿上のお願い』にひと項目を追加させていただきました。

⚫︎詩誌MY DEARの掲示板で佳作以上の評価を得た投稿者による
『初心者向け詩の掲示板』への投稿はご遠慮ください

何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

齋藤純二

No.1024 - 2024/04/14(Sun) 20:38:06

Re: 詩を投稿されるみなさまへ / 久保田
理解しました。私は佳作以上の評価を頂いたことはありません。初心者として精進して参りたい所存でございます。よろしくお願い致します。
No.1025 - 2024/04/15(Mon) 19:27:29

Re: 詩を投稿されるみなさまへ / 上田一眞(じょうでんかずま)
齋藤純二様
評者の皆様

おはようございます。上田一眞です。
一言お礼とお詫びを申し上げます。
初心者用掲示板が開設されて、投稿を始め三九作品、私が最も多く投稿したのではないでしょうか。
詩を書き始めて丁度一年になります。
いつも温かい感想を頂戴しました。数々のコメントは本当に励みになりました。修練の場を与えて頂きありがとうございました。
掲示板開設の趣意を理解せず、私が一番迷惑をおかけしました。お詫び致します。
評者の皆様のご活躍を祈っております。

No.1026 - 2024/04/16(Tue) 07:17:46
悪の凝縮の結果 / 久保田
類友により悪が凝縮し結晶が黒く鈍い輝きを放っていた
あの日
あの時

悪の魂が体という抜け殻を残して浮遊霊になっていく
またひとつ
またひとつ

神様は全てを見ていた

No.1016 - 2024/04/13(Sat) 18:59:59

Re: 悪の凝縮の結果 / 荻座利守
悪ということに強い関心をお持ちのようですね。
体から悪の魂(悪霊?)が抜け出ていったことや、神様が全てを見ていたところに、イエスがある男に取り憑いていた悪霊を追い出したという聖書の記述が思い浮かびました。
そこに仄かな希望を感じます。

No.1017 - 2024/04/13(Sat) 22:54:22

Re: 悪の凝縮の結果 / 久保田
荻座様、感想をありがとうございます。励みになります。
悪の凝縮した姿に関心を持たざるを得ない立場に追い込まれ、悪について考えるようになりました。ふつうの人間は善と悪の狭間で揺れ動く存在であることが通常ですが、悪に染まってしまうとやがて永遠の浮遊霊になってしまいます。現世に例えるならば自分の居所を持たないホームレスということになります。そうならない為にも悪に染まることは回避すべきだと思います。

No.1018 - 2024/04/14(Sun) 07:57:58
美香子のこと / 上田一眞(じょうでんかずま)
九州・西海の海辺から来た美香子
風に震えるこころは
深く深く傷ついていた

高校一年生
お互いこの街へ引っ越して来た異邦人
そのよしみで
次第に言葉を交わすようになった
同級生

九月
校庭で俯いていた美香子
ひとり自転車を倒し
鞄を抱いて固まっていた
ある男が西海からやって来る
顔など見たくない
だから家に帰るのは嫌だ!
と言う
なぜ?
と問うが
首を振るばかりで答えない

そして
美香子は学校に来なくなった
家に訪ねても出て来ない
気になりながらも半年が経った
彼女は学校を去り
街から消えた

しばらくして
美香子の動静を友人が聞きつけて来た
それは無惨なものだった

美香子は西海橋から身を投げた
遺留品の鞄の中から
ノートに記した走り書きが見つかった

養父から負った傷の深さに
耐えられなかった
ぼろぼろになった身体とこころの重さに
耐えられなかった
自分の身が汚されたから 死ぬ
と記されてあった

実際何が起こったか詳細は分からない
全ては海霧の中
美香子の身体は西海に消えたままだ

僅かな期間のつきあいだった
彼女のこともほとんど知らないままだ
ただ
十六歳の女に起こった悲劇に
こころの痛みを
禁じえず
寂しい思いが滲み出た

No.1013 - 2024/04/13(Sat) 00:10:43

Re: 美香子のこと / 荻座利守
胸の痛くなる詩ですね。
表現の技法よりも、書かれている内容の比重が圧倒的に重い詩だと感じました。
このような詩を通して、より良い世の中が訪れることを願います。

No.1014 - 2024/04/13(Sat) 12:11:40

Re: 美香子のこと / 上田一眞(じょうでんかずま)
荻座利守様

こんにちは。上田です。  

今回は同級生の死をテーマにしました。詩的な修辞や比喩も枯れてしまうような内容ですね。この掲示板にはふさわしくないかなとも思いましたが、投稿してしまいました。すみません。

今回も感想をお寄せ頂きありがとうございました。

No.1015 - 2024/04/13(Sat) 14:51:11

Re: 美香子のこと / 齋藤純二
とても残念で悲しい内容でした。
ひとがどうにか救われる社会(環境)であってほしいですね。

No.1019 - 2024/04/14(Sun) 11:32:14

Re: 美香子のこと / 上田一眞(じょうでんかずま)
齋藤純二様

苦しい内容の悲劇の詩です。
お読み頂きありがとうございました

No.1023 - 2024/04/14(Sun) 13:42:58
サクリファイスの夜 / 無名

朝を駆けていたのが嘘みたいだろ

(明日にはきっとー)
静かで煩い夜をヘッドホンでやり過ごす

きみは夜を眠れるか?
明日のために眠れているか?

きっと明日も会えないが
何処かでよくやってくれよ
きみは怪訝な顔をしたが
ずっと夜でも案外悪くないんだよ


明日のきみが笑えるならさ。

No.1006 - 2024/04/11(Thu) 16:50:06

Re: サクリファイスの夜 / 荻座利守
意味深長な感じの詩ですね。
タイトルにあるサクリファイスとは、いけにえや犠牲のことですが、ここでの犠牲とは夜に眠ることでしょうか。
その夜や眠ることが、何かの隠喩のように思えます。
読む人によって様々な受け取り方ができる作品だと感じました。
ちなみに私はこの詩を読んで、「願わくは婆子の永く苦海に沈まんことを」という禅の言葉を思い浮かべました。

No.1010 - 2024/04/11(Thu) 21:39:18

Re: サクリファイスの夜 / 無名

荻座利守様

読んでくださり有難うございます。
誰かの為に行う自己犠牲、相手はそれを望んでいない独りよがりさを書きました。

荻座様が書いておられた禅の言葉、自分は知らなかったのですがその言葉の意味がとても近いです。いい文章を教えてくださり有難うございます。

No.1011 - 2024/04/12(Fri) 00:43:40
雨の物語 / あこ
もう ずっとずっとずっと 前
深夜に息子がビショビショで帰ってきた

最寄り駅から電話をかけてきたとき
自転車で帰ると言うから
「傘持ってるの?」
「うん」

なのに ずぶぬれで帰ってきた

「傘は?」
「ずぶぬれの傘のない人が居たから貸した」
(貸したんじゃなく それは あげちゃったんだろが 
 まぁいいか。。)

あのねぇ その人もずぶぬれだろうけど
お前だって ずぶぬれやぁん

「だって 僕は帰ってすぐ風呂へ入れるから」

あのなぁ・・
その人だって帰ってすぐ風呂へ・・
ま・・・ いいかぁ


深夜遅く帰ってきたこと
連絡が かなり遅くなってから来たこと

怒りました 当然

昨今の日本が わけのわからん
理解できない事件がやたら起きていて

そんな時期に 深夜まで連絡無しで子供が帰らなかったら
どれだけ心配するか どれだけ探し回るか

怒ったし 胃の痛む思いを訴えたし

そこへ 「傘 あげました」
「びしょぬれで可哀想で・・・」

これは・・・
怒れません
文句も言えません
お前なぁ 傘だって無料じゃねーんだぞ
・・・なぁんて
思っても(おいっ) 言いません

そかぁ その人は助かったねぇ
早く お風呂入って 風邪ひかないよう寝るんだよぉ


息子が寝た後  ふと 思いました
思ってしまいました

深夜の駅
傘を差した男の子
「ど−ぞー」 傘を差し出す

「え? だって 君は?」
「私はありがたいけど 君だって濡れるでしょう?」

そんな想像
そうして
「ありがとうね」
「君の気持ちはすごく嬉しい」
「でも 君も濡れちゃうんだから」
「気持ちだけありがたく貰うね」

あたしの中の 想像
あたしの中の実際怒り得る現象

でも・・
それはなにもなかったらしい

「あ ありがとう」
傘を貰った(借りた?)人はそのまま 
当たり前のように走り去る
それが 現実


それが これから
この息子達が生き抜いてゆく 現実の社会


ねじくれたメビウスの輪は
それでも ちゃんと 輪になって繋がってはいるけれど
もう ねじれた輪すら ここにはないのだろうか

この子達は  どこに行くのだろう
私たちは  どこに 連れていこうとするのだろう


傘をさして帰った人の心に
その傘はずっと さされ続けるのだろうか・・

雨が上がると同時に
全ては  消え去ってしまうのだろうか


なにもわからないまま
それでも私はやっぱり
「その人は 濡れなくて良かったねぇ」

きっとそうしか言わない
言えない


そんな  我が家の
雨の 物語・・・

No.1005 - 2024/04/11(Thu) 16:27:33

Re: 雨の物語 / 荻座利守
つい最近「ペイ・フォワード」という小説を読みました。
他人から何か良いことをしてもらったら、その借りを返す(ペイ・バック)のではなく、他の誰かに渡すこと。
そんな運動が広がってゆくというお話です。
それは虚構のおとぎ話だとわかっていても、そんな世界が訪れることを夢見てしまいます。

No.1009 - 2024/04/11(Thu) 21:24:13

Re: 雨の物語 / 齋藤純二
息子の優しさを大事にしようとする母親。
そしてその優しさが現在の社会では、
自身を傷ついてしまうこともあるだろう、
と心配もしているのでしょう。
とても上手く書かれていますね。
ストーリーもすっと入ってきますし、
心情がとても伝わってきます。
素晴らしい作品ですね。

No.1012 - 2024/04/12(Fri) 06:33:45

Re: 荻座利守様 / あこ
評をありがとうございます
そんなおとぎ話の世界
本当にあったら素敵です

No.1021 - 2024/04/14(Sun) 12:57:06

Re: 齋藤純二様 / あこ
お褒め頂いて嬉しく思います
そんな日があったこと
ずっと忘れず覚えているのです
息子も覚えてくれてたらなあ
そう思います

No.1022 - 2024/04/14(Sun) 13:00:32
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