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御来房の皆様、こんにちは。 毎月五日の担当、戦国房薩摩守です。
八月は道場主の一族に命日が多く、加えて原爆投下や終戦の日もあり、多くの人々の御冥福をお祈りしたり、実際に法事に参加したり、で拙房を初め、他の房でもすっかり更新・雑文を滞らせてしまいました。
今年(令和七(2025)年)は先の大戦を終えて八〇年と云う節目の年と云う事もあり、事の是非はどうあれ、当時の歴史について自らが正しい歴史として認識することを声高に叫ぶ度合いが例年以上に強い様に思われます。 少し前に外国人受け入れをどう受け止めるかが問われた側面の強い参議院選挙があったこともあり、今も戦闘の続くウクライナ情勢もあって、主張も論争も激化傾向に有ります。
これらの諸問題に関して薩摩守にも意見はありますが、膨大な時数を要するため、今回の雑文では割愛します。代わりにと云う訳でもありませんが、今日話題にしたいのは「熊」についてです。
過去作に『北海道苫前郡羆害事件(大正四年)』を作ったことや、道場主の執着心が強い性格が熊並みであることから(苦笑)、熊と云う生き物には強い関心を抱くとともに、熊害事件には人一倍心を痛めても来ました。
真に残念ながら、今年は有害事件が多く、羆のみならず、羆よりは体格が小さく、正確も大人しい目とされるツキノワグマによる人身事故も相次ぎ、亡くなる方も出ています。
まずは謹んで、すべての獣害犠牲者の方々にお悔やみ申し上げ、犠牲者・討ち取られた熊の御冥福をお祈りいたします。
ここからは辛口になるのですが、昨今これらの事件に関して呆れ返っているのは、未だに熊の獲殺に苦情を寄せるクレーマーが後を絶たないと云う事です。 私も動物好きなので、動物の犠牲に心を痛めることは全く悪いと思いませんし、「何とか生かしておけないものか?」を考察することは大変有意義だと思っています。
しかし、残念ではありますが、人を殺した熊は駆除するしかありません。 「麻酔銃で眠らせて山へ返せ!」という、一見正論に聞こえる意見もありますが、知らないのなら敢えて上から目線で申し上げます。 「無知も甚だしい。」 と。
まず、熊類を麻酔で眠らせるのは熟練したハンターの腕をもってしても困難です。抵抗力も体力も優れた熊類は、実弾ですら然るべき急所に当てないと討ち取れません。まして麻酔となるとかなり的確に討つ必要があるとともに、麻酔が効くまでの間、熊の反撃を凌がなくてはならないという問題があります(30秒で眠ってくれるとしても、かなり驚異的な反撃時間です)。
また、熊類は極めて執着心の強い生き物です。どこかの道場主と一緒で(苦笑)。 農作物・生ごみといった人間の生活圏内にある食べ物を「自分のもの」と思えば、いくら山奥に追いやっても何度もやって来て、いつかは人身事故を起こします。 何とか熊が人間の生活圏内に入り込まないようにするのが先決ですが、「人間の生活圏」=「自分の餌場」と捉えられたれ、はっきり云って手遅れです。まして人肉の味を覚えたとあっては………。
従いまして、加害熊を生んでしまったことを非難したり、その対策を提唱したりするのはまだわかりますが、駆除を責めるのは誤りです。 しかも、聞けば2時間も延々と怒鳴り散らしたり、只々感情論に訴えたりするものも多いとのことで、ここまで来ると鬱憤晴らしにしか見えません。 更に云えば、苦情は熊野現れた県の外からのものも多く、そうなると「実態分かって云ってんのか?」と云いたくなります。
最後に、熊達の死を悲しむ心優しき人達に皮肉を送ります。 是非とも、人間に食べられている牛・豚・鶏・羊・魚類・蛇・アザラシにも悲しみを抱いて下さい。 ちなみに最後の弐つは道場主の大好物です。
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No.562 2025/08/20(Wed) 17:15:51
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