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北斗の拳の新作テレビアニメが発表になりました。 80年代の旧作アニメとは違い、原作に忠実なストーリーになるとのことです。
原作付きテレビ番組というのは昔から、普通に原作通りに進めていると話が原作に追いついてしまうので、所謂アニメオリジナルの話で水増しするか、いっそ最初から原作と違うストーリーにするといった処置がなされます。
ドラゴンボールでは「なぜアニメでは原作にない話を挟むのか」という読者の質問に答える形で、原作者の鳥山氏が「原作に追いついてしまうから。オリジナルの話を考えてくれるスタッフさんはご苦労様なのだ」と語っていました。
早い段階でアニメ化が決まった聖闘士星矢では、原作の世界観を逸脱したような星座と関係ない謎の敵キャラがドカドカ出てきてましたし、黄金聖闘士編が終わったら次のポセイドン編の間にまるまる一年完全アニオリシリーズを挟んでいました。 こちらは原作者も好意的で、アニオリ設定を原作に逆輸入したり、アニオリキャラの高年齢ファン向けフィギュアを発売したりしていました。「原作とアニメが互いに高め合える理想の関係」とのことです。
で、北斗の拳も原作ではシンを倒すまでの10話ぐらいしかないエピソードを半年ぐらいまで引き延ばしており、なんだかヘンテコな技を使う敵が度々出てきました。 ザコ兵士を大砲に詰めて撃ち出す中国雑技団まがいの「南斗人間砲弾」やら、死んだ人間をゾンビにして操る技やら、果ては列車砲とかいうトンデモ兵器まで出てくる始末。
これに原作者サイドが激怒し、アニメの内容にも細かく口出しするようになったため、脚本家の上原正三氏が揉めて降板した…という話が長らくまことしやかに語られていたのですが、最近になって有志の調査により否定されました。 上原氏が脚本を書いたのは第1話と2話、そして初のアニオリエピソードである第9・10話の前後編だけです(余談ですが第3話は仮面ライダーアギトや555のメインライターとなる伊上氏ですね)。
第1・2話はほぼ原作通りの話なのですが、上原氏は原作サイドがアニメ制作現場に対し何も言ってこないことに逆に「これで本当に良いのか」と不満を持っていたそうです。 で、完全アニオリである第9・10話も書いたのですが、やはり原作者サイドは何も言ってこないので、自分から降板したのだと。なおその第9・10話はそこまで原作を逸脱はしていません。
原作漫画の担当編集者による「人間砲弾だの列車砲だのはあまりにふざけ過ぎてるからアニメにもチェック入れるようにした」というコメントは確かにありますが、半ば冗談めかした口調でしたし、それらは上原氏が降板した後で戸田博史氏という方の脚本です。 この戸田氏は北斗のアニメ3年間のうち2/3の脚本を1人で書かれてますし、原作の後日談という設定のファミコンRPG「北斗の拳4」のシナリオも担当されたほか、原作者の武論尊氏と仲良くファミコンをプレイする間柄だったそうです。原作サイドと険悪だったということはなさそうです。
まあ上原氏は気難しい方でもありましたし、同時期に宇宙刑事シャイダーも全話1人で書かれてましたから、お忙しくもあったのでしょう。 そんなわけで、有志の調査により上原氏の濡れ衣は晴れたのでした。 もっとも、主人公ケンシロウが絶対的に強い存在だという設定に関しては疑問を抱いてらっしゃったようですが…。
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No.516 2025/06/28(Sat) 23:44:17
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